不登校で親が諦めていいこと・諦めてはいけないこと

お子さんの不登校が長引くにつれて「もう諦めるしかないのかな…」と思っていませんか?毎日同じことの繰り返しで、何をしても変化が見えないと、心が疲れ果ててしまいますよね。

「いつまでこの状況が続くんだろう」
「このままで将来は大丈夫なの?」

そんな不安がつのって、もう何もかも諦めてしまいたくなる日だって、そりゃありますよ。そうした気持ちになるのは、お子さんを愛しているからこそなんです。

ただ、知っておいてほしいことがあります。「諦める」には、手放していいものと、絶対に手放してはいけないものがあるということ。この2つがごちゃまぜのまま抱え込んでいるから、苦しくなってしまうんですね。

リコ

「諦めたい」と感じるその気持ちを、まずは整理してみませんか?諦めていいことと諦めてはいけないことを分けて考えると、心がスッキリするかもしれません。

今回は、不登校で悩む親御さんが諦めていいこと、そして決して諦めてはいけないこと、そして「諦めたつもり」で実はお子さんを傷つけているNG対応をお伝えします。ぜひ、最後まで読み進めてください。

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不登校の中学生の親が「もう諦めた」と思う瞬間

「諦めた」という言葉が頭をよぎるのは、何か特別な事件が起きたときではありません。ある日ふと、糸が切れるように訪れます。

私がお会いしてきた親御さんが「あのときでした」とおっしゃる瞬間には、共通したパターンがあります。

朝の攻防が3か月続いたとき

不登校が始まったばかりのころは、まだ「明日は行けるかもしれない」という希望があります。だから毎朝、声をかける。カーテンを開ける。でも1か月、2か月、3か月と続くと、希望が期待に変わり、期待が徒労に変わっていくんですね。

そしてある朝、声をかけようと口を開いたのに、言葉が出てこない。この朝の攻防に区切りをつけたいと思うのは、逃げでも投げ出しでもありません。毎朝立ち向かってきた人にしか訪れない、正当な限界です。

周りの子が受験の話を始めたとき

中学生の不登校がほかの学年と違うのは、カレンダーが勝手に進んでいくことです。

同級生が塾に通い始める。学校説明会の話題が出る。ママ友との会話に「うちは第一志望が〜」という言葉が混じる。

そのたびに、うちの子だけが止まっているように見えるんですよね。「この子はもう間に合わない」という考えが浮かんで、慌てて打ち消す。でも、また浮かんでくる。時間に追われる感覚が、いちばん親御さんの心を削ります。

「どうせ言っても変わらない」と口に出したとき

これがいちばん危険なサインです。「もう好きにすればいい」という言葉が出てきたとき、親御さんの心は限界に近いところにあります。そして問題は、この言葉をお子さんが聞いているということ。

「親に諦められた」と感じた子どもは、心を閉ざします。ただでさえ「自分は迷惑をかけている」と思っていますから、そこに「見放された」が加わると、回復にかかる時間が大きく延びてしまうんですね。

だからこそ、限界を感じたときこそ、何を諦めて何を諦めないかを整理する必要があるのです。

不登校で親が「諦めたくなる」気持ちはなぜ生まれるの?

お子さんの不登校が始まったころは「一時的なもの」「しばらく休んだら、きっと行けるはず」と思っていませんでしたか?しかし、お子さんの様子は変わらず再登校しそうな感じはない。そして日が経つにつれて諦めの気持ちが湧いてくる…

それは一体どうしてなのでしょうか?

まず、不登校の長期化によって親御さんが感じる疲労があります。毎朝「今日は行けるかな?」とドキドキしたり、学校からの連絡に気をつかったり、お子さんの様子を常に気にかけていると、心も身体もクタクタに。

さらに、周囲からの何気ない言葉が親御さんを追い詰めることもあります。「まだお休みしてるの?」「甘やかしすぎじゃない?」といった声を聞くたびに、自分の子育てが間違っているのではないかと自信を失ってしまうのです。

将来への不安も、日に日に増すばかり。「このままだと、高校に進学できないのでは?」「社会に出られなかったらどうしよう…」と、まだ起きていない未来を心配して、親御さん自身が不安の渦に巻き込まれてしまうケースも少なくありません。

これまで試してきたさまざまな方法がうまくいかなかった経験も、諦めの気持ちに拍車をかけます。「カウンセリングも試したし、環境も変えてみた。でも何も変わらない…」そう感じると、もう何をしても無駄なのではないかと思ってしまいますよね。

親御さんが諦めたくなるのは、お子さんを愛しているからこそです。ですので、その気持ちを否定する必要はありませんし、諦めたくなる自分を責める必要もありません。まずは、そんな自分の気持ちを認めてあげることから始めてみてください。

心身の消耗が限界に近いと感じている方は、「不登校で親のストレスが限界になったときの対処法」を先に読んでいただくほうがいいかもしれません。

「諦める」の本当の意味ーー明らかに見る、ということ

ここで、「諦める」という言葉そのものを一度ほどいてみたいと思います。

私たちは「諦める」を、投げ出す・見放す・希望を捨てる、という意味で使っていますよね。だから「子どもを諦める」という言葉に強い抵抗を感じる。当然です。

でも、「諦める」のもとになっているのは仏教語の「諦(たい)」で、これは「明らかに見る」という意味なんです。目の前で起きていることを、願望や恐れを混ぜずに、そのまま見る。それが本来の「諦める」でした。

不登校に当てはめると、こうなります。

「この子はもうダメだ」と見限る

「この子は今、学校に行けない状態にある」と、事実をそのまま見る

まったく別のことですよね。

私たちを苦しめているのは「学校に行けない」という事実ではなく、「本当なら行けているはずなのに」という前提のほうなんです。事実と前提の差が大きいほど、苦しみは大きくなります。

前提を下ろすと、事実だけが残ります。すると「じゃあ今、この状態でできることは何だろう」と考える余地が生まれてくるんですね。投げ出すのではなく、いったん下ろす。そう思って読み進めてみてください。

不登校で親が諦めていいこと5つ

具体的に何を下ろしていいのかを見ていきましょう。中学生のお子さんの不登校で、親御さんが抱え込みがちなものを5つに整理しました。

諦めていいこと1|今の学校に毎日通うこと

まず手放していいのが「今の学校に、毎日通う」という条件です。

ポイントは太字にした2か所。「学校に通う」ことをまるごと諦める必要はありません。諦めていいのは「今のあの校舎に、みんなと同じ時間に、週5日」という、やたらと条件の多い形のほうです。中学生の進路には、通信制高校、定時制高校、学びの多様化学校(旧・不登校特例校)、高卒認定試験など、いくつもの道があります。

「不登校の中学生はほっといていいの?」と迷われる方も多いのですが、ほったらかしにするのと、登校という条件を下ろすのは別のことです。登校をめぐる攻防がなくなったぶん、関われる余白はむしろ増えるんですよ。

諦めていいこと2|同級生と同じスピードで進むこと

「みんなに追いつかせなきゃ」という焦りは、下ろして大丈夫です。中学生の不登校でいちばんつらいのがこの「遅れ」の感覚ですが、比べた瞬間に苦しくなるのは親御さんとお子さんの両方なんです。

現実的な話をすると、中学校の学習内容は、本人にやる気が戻れば思っているよりずっと短い期間で取り戻せます。1年以上休んでいたお子さんが、動き出してから数か月で追いついたケースは珍しくありません。

「不登校の中学生に何をさせればいいのか」と考え込む親御さんは多いのですが、心のエネルギーが空っぽの状態で勉強させても入っていきません。まず休ませる、次に元気が戻る、それから学ぶ。この順番のほうが結果的に早いんです。

諦めていいこと3|「なぜ行けないのか」の原因を突き止めること

意外に思われるかもしれませんが、原因の特定は諦めていいんです。

「いじめ?」「先生との相性?」と何度も聞いてしまう気持ちはよくわかります。でも実際には、学校に行きたくない理由が本人にもわからない中学生がほとんどです。理由がひとつではなく、小さな負担が積み重なった結果だから。答えられないことを何度も聞かれると、お子さんは「答えられない自分が悪い」と感じてしまいます。

そしてもうひとつ。原因探しは、しばしば犯人探しに変わります。「私の育て方のせいだ」「うつっぽくなったのは親のせいなんじゃないか」と、親御さんが自分を責める方向に向かってしまうんですね。原因がわからなくても、回復は始められます。

諦めていいこと4|親が完璧に対応すること

「正しい対応をしなければ」というプレッシャーも、下ろしてください。

不登校について調べるほど「こう言ってはいけない」という情報が出てきます。真面目な親御さんほどそれを全部守ろうとして、言葉を発する前に検閲するようになってしまうんですね。でも、毎日一緒に暮らしている相手に24時間ずっと理想的な対応なんてできません。

大事なのは、失敗しないことではなく、失敗したあとに戻れることです。言いすぎたなと思ったら「さっきはごめん、言い方がきつかった」と伝えればいい。その姿は、お子さんにとって「人は間違えても関係を続けられる」という何よりの学びになります。

諦めていいこと5|他の家庭と同じ「普通」の形

最後は、「普通の家庭」という形です。

朝は決まった時間に起きて、家族そろって食事をして、平日は学校。多くの方が思い描く「普通」ですよね。今のご家庭がその形に当てはまらないことを、失敗だと思わないでください。

生活のリズムも家族の役割も、以前とは変わります。それは崩れたのではなく、今の状況に合わせて組み直されただけ。世間体が気になるのは当然ですが、その「普通」を守るために払っているコストが家族の消耗より大きくなっていないかは、一度考えてみてほしいのです。

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不登校で親が諦めてはいけないこと3つ

ここからは逆に、どんなに苦しくても手放してはいけないものを3つお伝えします。数が少ないことに驚かれるかもしれませんが、守るべきものは少ないほうがいいんです。多すぎると、結局どれも守れなくなりますから。

諦めてはいけないこと1|子どもとの日常の会話

守っていただきたい1つめは、学校と関係のない、どうでもいい会話です。

不登校が長引くと、親子の会話が「学校」「勉強」「将来」の3つだけになりがちです。そうなると、お子さんにとって親と話すこと自体が負担になり、部屋から出てこなくなってしまいます。

諦めないでほしいのは、中身のない会話のほう。「この味噌汁、ちょっとしょっぱかったね」「その動画、なんでそんなに面白いの?」。この程度で十分です。

返事がなくても構いません。大切なのは、話しかけられる関係が保たれていることです。この回線さえ生きていれば、お子さんが何か言いたくなったとき、その言葉が出てくる場所があります。切れてしまうと、復旧に何倍もの時間がかかります。

諦めてはいけないこと2|家庭が安心できる場であること

2つめは、家が安全な場所であり続けることです。

学校に行けない子どもにとって、家は唯一の居場所です。その家の中に緊張が漂っていたら、休むための場所がどこにもなくなってしまいます。

具体的には、こういうことです。

  • 家の中でため息をつく回数を減らす
  • 学校からの電話のあと、その内容をすぐに本人にぶつけない
  • 夫婦の言い争いを、お子さんに聞こえるところでしない

完璧にやろうとしなくて大丈夫。ただ、「この家にいれば大丈夫」という感覚だけは守ってあげてください。回復のエネルギーは、安心できる場所でしか溜まりません。

家を安心できる場所にする方法は、以下の記事でも詳しくお伝えしています。

諦めてはいけないこと3|親自身が自分の時間を持つこと

3つめは、親御さん自身の時間です。「子どもがこんな状態なのに、自分が楽しむなんて」と思われますよね。でも、これは諦めてはいけません。

理由は2つ。ひとつは、親が倒れたら支える人がいなくなるから。不登校の回復は月単位・年単位になることがあり、全力疾走では持ちません。

もうひとつは、親の生活がお子さんの視界に入っているから。親が自分の楽しみを全部捨てて子どものことだけを考えている。その姿を見た中学生は「自分のせいで親の人生を止めている」と感じます。この子が背負うには重すぎる荷物です。

美容院に行く。友達とお茶をする。「子どもを置いて」ではなく、「子どものために」やってください。

諦めたつもりで実はNGな親の対応4つ

「諦める」を間違った方向で実行してしまうと、お子さんを深く傷つけてしまいます。よかれと思ってやっているのに逆効果になっている、代表的な4つを挙げます。

NG1|「もう好きにしなさい」と突き放す

これは「諦める」ではなく「見放す」です。

言った側は本人の意思を尊重したつもりでも、言われた側には「あなたのことはもう考えたくない」と聞こえます。それまで熱心に関わってきた親御さんが急にこの言葉を使うと、落差が大きいぶん衝撃も大きくなります。

同じ内容でも伝え方は変えられます。「無理に行かなくていいよ。あなたが元気になることのほうが大事だから」。突き放す言葉ではなく、こちらから条件を下ろす言葉にしてください。

NG2|期待していないふりをして態度に出る

言葉では「気にしてないよ」と言いながら、態度がついてきていないパターンです。

学校から電話が鳴ると表情が固まる。同級生の話題が出ると急に黙る。中学生は、こういう不一致に驚くほど敏感です。言葉と態度がずれていると、お子さんは「本音は違うのに気を使わせている」と感じ、余計に罪悪感を深めます。

むしろ、正直に言ってしまうほうが安全です。「正直に言うと、お母さんはまだ心配してる。でも、あなたを責めてるわけじゃないよ」。感情を隠すのではなく、感情と要求を切り離して伝えてください。

NG3|「いつか何とかなる」と待つだけになる

ここまで読んで「じゃあ何もせずに待てばいいんだ」と受け取った方がいたら、訂正させてください。待つことと、止まっていることは違います。

「いつか動き出すだろう」と何もしないまま半年、1年と過ぎてしまうご家庭は実際にあります。そのあいだに家族の会話は減り、生活リズムは崩れ、外との接点はなくなっていく。時間が経つほど、動き出すためのハードルは高くなります。

登校は諦めていい。でも、日々の関わり・家庭の空気・親自身の生活は、動かし続けてください。

NG4|きょうだいや配偶者の前で子どもの話をする

見落とされやすいのですが、影響が大きいところです。

リビングで、本人がいないと思って夫と話す。きょうだいに「お兄ちゃんのこと、どう思う?」と聞く。家の中の声は、思っているより本人に届いています。自分のことが家族の議題になっていると知ったとき、中学生の子が受け取るのは「自分は家族の問題なんだ」という感覚。これは自己否定感を強く刺激します。

夫婦で話し合うこと自体は必要です。ただ、場所と時間を決めてください。外で話す、車の中で話す、本人が確実に眠ってから話す。それだけでダメージはかなり変わります。

お子さんの言動につい強く反応してしまうという方は、以下の記事もご覧になってみてくださいね。

不登校を「諦める」から「受け容れる」に変えるには?

「諦める」から「受け容れる」への心の転換は、すぐにできるものではありません。でも、少しずつ意識を変えていけば、親御さんの心は軽くなりお子さんとの関係も変化していきます。

まずは、今のお子さんの状態をありのまま受け止めること。「学校に行けない」事実に対して「良い・悪い」の判断は一旦お休みしてください。「今はこういう状態なんだな」と客観視してみてくださいね。

そして、お子さんにはお子さんの回復のペースがあると信じてください。親御さんが思うタイミングと、お子さんの心の準備ができるタイミングは違って当然です。「この子なりのペースがあるんだな」と思えるようになると、焦りや不安が和らいできます。

「受け容れる」とは、特別なことをしようとする思いを手放すこと。お子さんが起きてきたら「おはよう」と言い、一緒にご飯を食べて、何気ない会話を楽しむ。それだけで十分なんです。

リコ

「受け容れる」とは、お子さんと一緒に歩むことです。急がず、焦らず、お子さんのペースにあわせて歩んでいきましょうね!

不登校を諦めるのではなく、心から「受け容れる」と、親御さんとお子さんの関係は不思議なほど温かなものになっていきます。そして、その安心感がお子さんの心の土台になるんです。

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まとめ|諦めるのではなく受け容れると不登校は解決する

中学生の不登校で悩む親御さんが「諦めたい」と感じるのは、お子さんを深く愛しているからこそです。その気持ちを責める必要はありません。

諦めていいことは、今の学校に毎日通うこと/同級生と同じスピードで進むこと/原因を突き止めること/親が完璧に対応すること/他の家庭と同じ「普通」の形。

諦めてはいけないことは、子どもとの日常の会話/家庭が安心できる場であること/親自身が自分の時間を持つこと。

「諦める」とは、明らかに見ること。目の前のこの子を、願望や恐れを混ぜずにそのまま見る。それができたとき、親御さんの心は軽くなり、お子さんの心にも余白が生まれます。

お子さんには自分で自分の未来を切り拓く力があります。その力を信じることだけは、どうか諦めないでくださいね。

リコ

「諦める」と「受け容れる」の違いを理解すると、親御さんの心はきっと軽くなります。お子さんの笑顔が戻る日は必ず来ますから!

私の著書『元しくじりママが教える 不登校の子どもが本当にしてほしいこと』を、たくさんの方に読んでいただき、ありがとうございます。

この本は、私自身の子どもの不登校を通じて経験した「親としての失敗」と「気づき」を赤裸々に綴っています。不登校で悩む親御さんの心が少しでも軽くなるよう、実体験をもとにお伝えしていますので、まだ読んでいない方はぜひ手に取っていただけるとうれしいです。

実はこの本、ありがたいことに日本全国の図書館へ700冊献本させていただきました!北は北海道から南は石垣島まで、たくさんのご家庭やお子さんの力になれるよう願っています。

お近くの図書館でもお読みいただけますので、ぜひご活用くださいね。

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